研究概要 |
超高強度コンクリート柱の曲げ終局耐力や骨格曲線に代表される曲げ性能を把握することを目的とし, Fc110MPaの超高強度コンクリートを使用した6体のプレキャストプレストレストコンクリート(PCaPC)柱の静的載荷実験を実施した。横補強筋量を0.32%とした3体の試験体の破壊形式は, 端部コンクリートの圧壊による曲げ破壊後のせん断破壊であった。一方, 横補強筋量を0.63%とした3体の試験体については, 端部コンクリートの圧壊によって曲げ破壊し, 全ての試験体でコンクリートの曲げ圧壊により最大耐力が決まった。引張鉄筋の降伏によって終局状態を迎える部材とは異なり, コンクリートの曲げ圧壊によって終局状態を迎える部材では, コンクリートの性状が部材の曲げ性能に及ぼす影響が大きい。ゆえに, 今回得られたデータは, 現在構築中の超高強度コンクリートを対象とした曲げ解析モデルの妥当性を検証に役立つと考えられる。また, 平面保持仮定に基づいた断面解析によりPCaPC柱の曲げ耐力評価を行い, 最大せん断力を算定したところ, 実験結果との誤差は10%程度となり, 精度良く予測することができた。 断面解析法の精度確認を目的とし, ファイバー要素を用いて, 高強度コンクリート(Fc80MPa)を使用したL型コア壁の曲げ解析を行った。解析結果は, 実験で得られたL型コア壁の初期剛性や最大耐力を過大評価した。壁板に対して45度方向に載荷を行なった今回の試験体では, コア壁内の圧縮側柱に損傷が集中していた。ゆえに, 実験では, 平面保持仮定が成立しておらず, 解析精度が低下したものと考えられる。
|