研究概要 |
自然暴露大型RC柱試験体は, 400×400mmの正方形断面, 柱高さ1600mmである。モニター試験体の断面は400×400mm, 柱高さ1000mmである。大型RC柱試験体およびモニター試験体の総数は各12体であり, このうち, 各9体を暴露している。暴露開始後, 1回目の水平加力実験と塩分浸透量調査, 暴露鉄筋の引張試験を行った。水平加力を行ったのは, 暴露柱試験体3体(L, N, Fシリーズ), 暴露していない基準柱試験体3体(L, N, Fシリーズ)である。実験の結果, 暴露期間が3年を経た柱試験体は, 一部の柱試験体(N, F)のかぶりコンクリートにひび割れが生じ, 鉄筋の腐食グレードがIII及びIVという外観上, 耐久・耐震性能上の検討が必要となるRC柱となる。また, 暴露柱試験体の累積エネルギー吸収量は基準柱試験体に比べてわずかに上回る結果となった。次に, モニター試験体から主筋をはつり出して腐食グレードを判定し, 引張試験を行った。その結果, 腐食主筋の質量が減少するに従い, 腐食グレードは上昇する。引張試験では, 降伏強度, 引張強度, 破断伸び率の測定を行い, 主筋の質量減少率が大きくなるに伴い, 破断伸び残存率は低下した。腐食主筋の破断伸び残存率が, 健全主筋の約3割に低下している試験片もあった。モニター試験体の塩化物イオン浸透量調査では, 水セメント比が大きいLシリーズ(L3)の浸透量が一番大きく, 次にNシリーズ(N3), フライアッシュを混入したFシリーズ(F3)が一番小さい結果となった。平成20年6月と12月には, 暴露を継続している残りRC柱試験体6体のひび割れ調査および写真撮影を行った。12月の調査よると, 柱試験体のクラック発生状況は, Nシリーズが一番多く, 次いでFシリーズ, 一番少ないのが, Lシリーズだった。さび汁はLシリーズの柱脚部に多く発生している。また, 6月の調査より, ひび割れは増加していた。
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