平成20年度は、杭基礎を有する軟弱地盤上の高層免震建物のモード連成作用の影響分析と応答制御について、地震応答解析を実施した。建物上部構造に中高層建物を想定した解析モデルを設定し、高層免震建物の建設実績のある地盤を調査して、そこから地盤ばね定数などを決定した。上部構造部の固有周期をパラメータとしたパラメトリック解析を行い、地盤および基礎の振動特性と建物の地震応答から軟弱地盤上の基礎免震構造のモード連成作用効果について分析を行った。得られた成果は次のとおりである。 1.軟弱地盤上の基礎免震構造においても、中間層免震構造と同様なモード連成作用が生じることが確認された。従来、免震構造では建物一地盤の動的相互作用は小さいため、地盤との連成解析はそれほど重要視されなかったが、本研究の成果から、免震建物の設計における地盤の考慮の重要性が示唆された。 2.地盤の非線形性を考慮した場合、建物応答は著しく低下することが確認されたが、モード連成作用による応答増幅自体はなくならないことが確認された。 3.杭基礎を考慮した場合、それを無視した場合に比べ、若干の応答増幅が確認された。 平成21年度は、杭頭免震工法の特性(つなぎ梁の簡略化+杭頭回転)の免震部材への影響(曲げ変形+P-δ効果)の分析を行った。杭頭回転に伴う免震部材(積層ゴム)の付加せん断変形ならびに鉛直荷重によるP-δ効果がもたらす付加せん断変形の影響度を定量的に示した。また、この変形の増加に及ぼす杭頭つなぎ梁の曲げ剛性の影響について分析し、杭頭回転量、免震層のせん断変形量とつなぎ梁の曲げ剛性の関係を定量化した。
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