研究概要 |
平成20年度はコーナー要素の製造条件の確立と構成材料の基本物性の把握を踏まえて, コーナー要素の試作を実施した。 製造条件の絞り込みは, 圧密合板を製造することで行った。基材には厚さ3. 3mmのトドマツおよびカラマツ単板を用いた。注薬缶による単板ヘのフェノール樹脂液注入, 樹脂含浸単板の乾燥, 熱板プレスによる積層圧密の工程を経て, 圧密後に復元や厚さムラが発生しない製造条件を検討した。樹脂濃度, 注液スケジュール, 積層数, プレス時間, プレス方法を変えながら製造試験を実施し, 最終的に基材としてトドマツを採用して, 樹脂濃度30%, 減圧(0.008MPa)30分, 加圧(1.5MPa)3時間, 乾燥60℃48時間, 積層数10, プレス条件140℃30分, 厚さ制御で15mmにすることを導き出し, 次年度以降の標準条件と位置づけた。この条件で製造した150×400×15mmのトドマツ圧密合板から15mm角の小試験体を切り出して曲げ試験に供した結果, 強度,剛性ともに合板の2倍以上の性能があることが確認された。また,積層時には接着剤を用いず, 単板から染み出すフェノール樹脂によって単板同士を一体化させていることから, 合板のJASに従った煮沸による接着力試験を実施し, 積層面がはく離しないことも確認した。 この製造条件で, 断面が120×120mmの部材に対応するコーナー要素を試作した。140×260×3.3mmの樹脂含浸単板10枚をL字形になるように交差重ね合わせ, 厚さ15mmまで圧縮した。得られたL字形板を8枚, 2次接着することで, 120mmの部材幅を有するL字形部材を得た。これを120mm角のカラマツ集成材とラージフィンガージョイントで縦継ぎし, モーメント抵抗試験に供したところ, 十分に剛と仮定できる剛性だけでなく, 強度も非常に高い接合要素であることが分かった。
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