前年度に策定した製造条件に従い、梁せい180mmの部材に対応するL字形の接合要素を製造し、モーメント抵抗性能を測定した。また、最終成果品である門形フレームを構成する際に必要となる集成材との継手方法としてラグスクリューボルト(LSB)接合およびラージフィンガージョイント(LFJ)について検討した。 LSB接合の引抜試験を実施したところ、その引抜剛性および引抜耐力はカラマツ集成材の場合の半分程度であった。この原因はLSBを埋め込む際に部材が損傷を受け、その程度が通常の木材にくらべ高かったためで、樹脂含浸LVLのめり込み剛性の高さが不利に働いたものと考察した。一方、LFJについては樹脂含浸トドマツLVLを製造し、これと集成材とをLFJで縦継ぎして曲げ試験を実施した。結果、曲げ強度接合効率は平均で60%であり、統計的な下限値では45%であった。このことから、実大の門形フレームにおいて縦継する場合には存在モーメントが45%以下であるところで縦継することが理想であることを導いた。ただし、LFJは特殊な切削機械を必要とすること、現場接着が前提となることから他の継手方法を引き続き考察する必要がある。 門形フレームの柱脚接合方法については集成材と基礎との連結であることから、LSBを用いたものを採用することが有力である。フレーム構造計算上は、継手部がLFJによる場合のように剛と仮定できる場合には門形フレームの柱脚と肩部のモーメント負担割合が等しくなるように設計できることが確認できたことから、この柱脚接合方法を念頭に置き、次年度には柱脚接合部の試験を経て、実大の門形フレーム試験体の性能試験を実施する。
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