本研究では、(1)雪害発生の要因分析、(2)雪害発生要因の影響度の解析、(3)雪害による損失の定量化、(4)雪害リスクマネジメントの確立について検討を行った。 (1)では、全国の豪雪および特別豪雪地帯に指定されている24道府県542市町村の雪対策担当者を対象に雪害に関するアンケート調査を行い各市町村別の雪害発生状況に関する資料を得た。(2)では(1)の調査結果並びに北海道内市町村の雪害発生状況と気象要素(平均気温、日降雪深など)との関係について統計的解析を行った。その結果、平均気温の低下に伴い雪害が増加する傾向にあること、日降雪深の変動係数が0.2~0.3の市町村において雪害発生が多いことを明らかにした。また北海道の建築物においては、吹きだまりや吹雪に関する障害が多発していることが明らかになった。雪害発生と社会条件との関連については、財政力指数が低く高齢化率の高い市町村において雪害が多く発生する傾向にあることを明らかにした。更にこれらのデータを用いた多変量解析を行い、雪害発生を判別する方法を示した。(3)では、吹きだまりや屋根の雪庇、吹雪障害などの雪害の発生確率と除雪費の試算から雪害による損失の定量化方法について検討を行い、道内主要都市を対象とした雪害リスクの試算を行った。その結果、吹きだまりや吹雪障害は風の強い地域、雪庇については降雪量の多い地域でリスクが高いことを示した。(4)では、構造物のリスクマネジメント(ISO 13824)に雪害のリスク分析を組み込むことを検討し、雪害リスクマネジメントを検討するフローを作成・提案した。
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