研究概要 |
本研究は、鉄筋コンクリート造建築物の荷重変形関係の理論的で精度のよい評価手法の確立を目指し、研究代表者が提案している、柱、梁、柱梁接合部およびそれらの相互作用を考慮した鉄筋コンクリート造骨組の荷重変形関係の理論的評価手法について、実験によりその妥当性の検証を行うとともに、問題点の把握を行う。また、その問題点に基づき、提案評価法の仮定条件の見直しを行うほか、主要部位について詳細検討のための部分実験を行い、提案評価法の修正、改善を行うことを目的とする。本年度は、研究代表者の提案評価法の妥当性の検証、問題点の把握のため、鉄筋コンクリート造の柱,梁,柱梁接合部を含む骨組の一部を取り出した部分架構について水平加力実験を実施するため、試験体の計画・製作を行った。試験体の計画にあたっては、研究代表者の提案モデルによる解析結果のほか、既往の研究、設計式等を勘案し、柱、梁、柱梁接合邦の各部に弾塑性変形が生じると想定した標準試験体のほか、主筋径・量を変えることにより付着性状の違いによる影響をみる試験体、コンクリート強度を変えてその影響をみる試験体、梁主筋量を減らすことにより各部の弾塑性変形を変えた試験体の計4体を対象とし製作を行った。なお、これまでの類似の研究では着目されてこなかった柱梁接合部の変形状態に着目し、それを計測する計画とすることで、研究代表者の提案モデルの妥当性を検証可能としている。本実験は本研究の目的を達成するために必須のデータを得るものであり、このデータは過去の研究では着目されず取得すらされていないデータであるという点において非常に有意義で重要なものである。
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