研究概要 |
本研究では,平成20年度に実施した学生単独世帯の住まい方とエネルギー消費に関するアンケート調査および平成21年度に実施した高齢夫婦世帯のエネルギー消費量に関する実測調査に基づいて,あまり整備されていない少人数世帯向けの省エネルギー手法を明らかにし,家族類型別省エネルギー手法を提案することを目的としている。2010年における最多の家族類型は単独世帯であり,今後も家族の縮小が進み,単独世帯がますます増加することが予想されている。一方,一人当たりのエネルギー消費量は世帯人数の減少に伴い大幅に増加するとの報告もある。したがって,単独世帯の増加は家庭部門のエネルギー消費量を増大させる要因になり得るため,効果的なエネルギー消費量抑制手法の提示に向けて,単独世帯を含む少人数世帯のエネルギー消費特性を明らかにすることは意義深い。 単独世帯の一属性である学生単独世帯を対象としたアンケート調査から得られた知見を以下にまとめる。1)学生単独世帯では新聞・雑誌,飲料容器や食品トレーのリサイクルといった省資源行動の実行度と,空調機器のエアフィルターの掃除や風呂の残り湯の再利用といった省エネルギー行動の実行度が家族世帯に比べて有意に低い。2)家族世帯に比べると,実生活において省エネルギーに配慮されている傾向が見られ,室内温度は2~3℃低く,住宅内エネルギー消費量は11.4GJ/年と,勤労者といった他の属性の単独世帯に比べて有意に少ない。 高齢夫婦世帯を対象とした実測調査では,省エネライフスタイル実験の結果,明らかとなった高齢夫婦世帯に効果的な省エネルギー手法をエネルギー消費量の用途別に整理した。 以上のように,少人数世帯として,学生単独世帯と高齢夫婦世帯のエネルギー消費実態を明らかにし,各世帯に適した省エネルギー手法を整備することで,家族類型別住宅内省エネルギー手法を提案するための下地を整備した。
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