建築設計における各専門間のコラボレーション、特に意匠・設備設計の連携に着目し、建物情報モデリング(Building Information Modeling、略称BIM)の技術を活用してデジタル環境設計ツールの開発を目標としている。より効率的、より高品質な設計の実現を目指している。そこで、CADアプリケーションに依存しない、BIMの国際標準仕様であるIFC (Industry Foundation Classes)規格に基づいて、部位、部材の情報を解析して意匠・設備設計が一体となったデジタル環境設計手法を提案する。空調負荷、エネルギー消費量、CO_2排出量など環境評価指標の自動計算を実現し、建築分野におけるCO_2排出量の削減に貢献する。 昨年度では、空調負荷計算ツールを改善し、空調の年間エネルギー消費量、電力消費によるCO_2排出量の計算などを含め、デジタル環境設計ツールを構築した。出力されたIFCテキストファイルから省エネルギー評価指標PAL計算用建築情報を抽出し、地域の気象データベースとの連携により、PALの自動計算ツールを改良した。また、既存の調査データなどに基づいて、開発した環境評価ツールの有効性を検証した。 今後では、モデルチェッカーなどを利用して、BIMモデルの整合性を確認すると同時に、建築BIMデータの建材環境性能データベースの改善・充実をしながら、本研究で開発した環境設計ツールを改良し、汎用性のあるツールとして公開する予定である。
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