建築の適切な機能維持を目的とした新たなビルディング・フォレンジクス領域の展開

2010 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 20760396
• 研究種目: 若手研究(B)
• 配分区分: 補助金
• 研究分野: 建築環境・設備
• 研究機関: 豊橋技術科学大学
• 研究代表者: 増田 幸宏 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10398935)
• 研究期間 (年度): 2008 – 2010
• キーワード: Building Continuity / 建築の適切な機能維持 / Business Continuity Plan / 事業継続 / ビルディング・フォレンジクス / Building Forensics / Building Security Recorder / Business Continuity支援システム / 都市環境基盤

研究概要

行政、経済活動の中枢を担う都市部における災害時には、直接被害と共に大きな間接被害が発生することが予想され、間接被害の多くは建物の機能不全に起因する。非常時において人命や建物を直接的に守ることは当然最優先されるべき事であるが(直接被害の軽減)、間接被害を回避することの重要性も忘れてはならない。災害時においても様々な組織や建物の機能が維持され、業務が継続されるということは、被災地域や被災者の生活を守り、迅速な復旧を確実に推進していくために欠かせないものとなるからである。例えば災害対応拠点となる行政庁舎や病院に加えて、公益企業や物流業者、データセンターや金融機関などの機能が維持されることが、被災後にどれ程大きな力になるかを忘れてはならない。阪神・淡路大震災やアメリカ同時多発テロ以降、危機管理手法として事業継続計画(BCP)や事業継続マネジメント(BCM)が注目を集め、現在関連の国際標準規格化(ISO)の検討やガイドラインの整備が進んでいる。しかしながら、建物システムに関する意識は低く、重要業務拠点・重要生産拠点となるその重要性に比して対策の必要性が見落とされているのが現状である。特に非常事態が発生した際の施設管理方策、また事後における状況の科学的検証方策については方法論の早急の確立が求められている。こうした問題意識のもと、著者らの研究グループではBC(Building Continuity)という新たな概念を創出し、Building Continuity(建物の適切な機能維持)を実現する方法論についての検討と建物管理支援の新たなシステム開発に取り組んだ。

研究成果

• [雑誌論文] 広域災害時における中央監視システムの警報情報に関する調査研究-ビルディング・フォレンジクスに向けた基礎的課題検討 (2009)
  • 著者名/発表者名: 増田幸宏
  • 雑誌名: 日本建築学会環境系論文集 No.644 ページ: 1155-1161
• [雑誌論文] 「大都市の自然災害危険度指数」に関する考察と展望 (2009)
  • 著者名/発表者名: 増田幸宏, 堀英祐, 川合廣樹, 佐土原聡, 中嶋浩三, 尾島俊雄
  • 雑誌名: 日本建築学会技術報告集 Vol.15, No.31 ページ: 833-838
• [雑誌論文] Field Survey of the Emergency Power Supply related to Business Continuity (2009)
  • 著者名/発表者名: Yukihiro Masuda, Eisuke Hori, Nobuyuki Takahashi, Toshio Ojima
  • 雑誌名: Journal of Asian Architecture and Building Engineering vol.8, no.1 ページ: 259-266
• [雑誌論文] 東京の安全性に関する声明-安全街区構築の推進Statement of Asian Institute of Urban Enviroment (2009)
  • 著者名/発表者名: 増田幸宏, 尾島俊雄, 他
  • 雑誌名: アジア都市環境学会
• [学会発表] 災害に対する建物・地域のレジリエンス(事業中断からの復旧能力)を評価する手法の開発 (2010)
  • 著者名/発表者名: 増田幸宏
  • 学会等名: 2010年度日本建築学会大会学術講演梗概集,D-1分冊,p.791-792
  • 年月日: 20100000
• [学会発表] 建築・都市とレジリエンス (2009)
  • 著者名/発表者名: 増田幸宏
  • 学会等名: レジリエンス協議会
  • 発表場所: 東京
  • 年月日: 20090000
• [学会発表] 建物の安全性モニタリング・記録装置の開発研究Building Security Recorder(ビルディング・セキュリティ・レコーダ)のシステム設計 (2009)
  • 著者名/発表者名: 増田幸宏, 尾島俊雄
  • 学会等名: 2009年度日本建築学会大会学術講演梗概集D-1分冊環境工学I,p.745-746
  • 年月日: 20090000
• [学会発表] Research toward the development of Building Security Recorder (2008)
  • 著者名/発表者名: Yukihiro MASUDA, Eisuke HORI, Nobuyuki TAKAHASHI, Toshio OJIMA
  • 学会等名: 5th International Symposium of Asia Institute of Urban Environment, Proceedings "Creation of Asian city model for Sustainable development" p.174-178
  • 発表場所: TOYAMA, JAPAN
  • 年月日: 20081123-20081126
• [学会発表] 非常時における建築の機能維持(Building Continuity)に関する研究(その1)Building Continuityの考え方とその対策 (2008)
  • 著者名/発表者名: 増田幸宏, 井口奈津紀, 堀英祐, 高橋信之, 尾島俊雄
  • 学会等名: 2008年度日本建築学会大会オーガナイズドセッション(環境工学部門),2008年度日本建築学会大会学術講演梗概集選抜梗概,p.1089-1092
  • 年月日: 20080000
• [学会発表] 非常時における建築の機能維持(Building Continuity)に関する研究(その2)関連事例調査 (2008)
  • 著者名/発表者名: 井口奈津紀, 増田幸宏, 堀英祐, 高橋信之, 尾島俊雄
  • 学会等名: 2008年度日本建築学会大会オーガナイズドセッション(環境工学部門選抜梗概),2008年度日本建築学会大会学術講演梗概集選抜梗概,p.1093-1096
  • 年月日: 20080000
• [学会発表] 東京における安全街区とその評価に関する研究(その1)安全街区のシステム構築 (2008)
  • 著者名/発表者名: 堀英祐, 増田幸宏, 高橋信之, 尾島俊雄
  • 学会等名: 2008年度日本建築学会大会学術講演梗概集D-1分冊環境工学I,p.835-836
  • 年月日: 20080000
• [学会発表] 東京における安全街区とその評価に関する研究(その2)大深度地下ライフラインを活用した検討 (2008)
  • 著者名/発表者名: 高橋信之, 堀英祐, 増田幸宏, 尾島俊雄
  • 学会等名: 2008年度日本建築学会大会学術講演梗概集D-1分冊環境工学I,p.837-838
  • 年月日: 20080000
• [図書] nhancement of the Resilience of Building Continuity -Development of Building Security Recorder and "Independently Secured and HighlyProtected Business District" (2011)
  • 著者名/発表者名: Yukihiro MASUDA
  • 出版者: Globalization, In-TechPublications, In Press
• [図書] 『守る』から『続ける』へ～Building Continuity支援システムとBSR(ビルディング・セキュリティ・レコーダー) アジア都市環境学会編 (2011)
  • 著者名/発表者名: 増田幸宏 制作責任者
  • 出版者: Japan Architecture Video Libraryシリーズ(DVD)
• [備考] ホームページ等
  • URL: http://einstein.tutrp.tut.ac.jp/masuda/