研究概要 |
初年度はGISデータの整備を中心に研究を行った. 対象地域として、既往研究でも対象とした京都市伏見区を中心にデータを構築した.既往研究が対象とした半径1kmの範囲内ではなく, より地域のまとまりを考慮して, 京阪電鉄や近鉄京都線の西側の南北2km東西1kmの伏見区中心部の範囲を対象地域とした, この範囲内において, ひったくり犯罪, 空間データ基盤, 土地利用, 電子住宅地図, 建物画像などのデータを入手・整理し, GISデータベースを整備した. 土地利用については, オントロジーを定義して粒度を考慮して分析を行えるように拡張を行った. 分析対象とした空間は数値地図1/25000スケールが対象とする道路上とした. この分析対象道路において連続的な照度測定を行い細かな照度データを得た. この基本GISデータを基に, 分析に必要な各種属性を計算するソフトウェアのプロトタイプを開発した. まず, 歩行者推定モデルについては, 既往研究の移動経路モデルを改良し, 各駅からの利用圏を考慮するモデルとした. 次に監視性・領域性のモデルでは, 従来の離散的なモデルを改良し, 視線がぶつかる建物種類の他, 可視範囲内の土地利用面積を集計できるモデルへと拡張した. 属性を求めるためのサンプリング点の発生方法は, 従来のグリッドに基づく機械的なサンプリング方法から, ひったくりを考慮して歩行動線上でサンプリング点を発生させる方法へと改良した. このようなデータベースを構築し, 試行的に犯罪発生点と非発生点の各属性の違いを, 平均値の差の検定や決定木により分析し知見を得た. また, 継続的な街頭犯罪データの整備に向けて, 定期的に警察の犯罪情報WEBページからデータを取得する為のツールを構築した.
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