20年度は、以下2つの調査を行った。 調査1)まず、ワーカの行動記述による日誌記録調査と主観による知的活性度記録調査(オフィスワーカ28名)の分析を行った。行動記録としては、行動、場所、及び空間適用度を記録させ、知的活性度ver Iとして「覚醒度」「疲労度」「気分の良さ」「気力の充実」「集中度」「脳の動きの活発度」の6項目を30分ごとに記録させた。全サンプルの活性度平均値から、生理学的な傾向としてサーカセミディアン現象を見知できた。また、ワーカの活性度は上昇下降を繰り返すものの、一定の値域を保ちながら執務を行っている場合が多いことが確認された。さらに行動記録調査と組み合わせた分析において、場所の適応度が低い状況下では、微細ながらも知的活性度は下降することが示唆された。次にワーカが切り替えになったと感じた行動についての分析から、切り替え行動の約8割が執務外行動であることを示し、オフィスにおいて効果的な気分転換を促す仕組みとして執務外行動を誘発する空間づくりが課題であることが確認できた。さらに本研究ではコミュニケーションを伴う行動を切り替え行動と感じるワーカが多いことが分かった。 調査2)客観的な調査である観察者によるワーカの行動観察調査と脳波・心拍・体温の計測調査を行った。本年度は、来年度行う予定としている、実務に近い状況下での摸擬オフィスでの実験を想定したプレ実験として、隔離した実験室でソロワークを行わせる実験室実験を行った。これにより、客観計測項目と主観評価項目の整理(選定)と、実験に向けた課題点(ノイズや被験者負担等)及びその改善策を見出した。
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