平成22年度は、開発したSI住宅の汎用性を高めることによって、「京間型スケルトン・インフィル住宅」のシステムとしての完成を目指した。具体的には、プロジェクトの構法、工法、コスト、事業方式、運営方式、LCC、二酸化炭素発生量などのシミュレーションおよび評価を行うとともに、プロジェクトの条件を様々に変えた場合に実施可能であるかどうか、検証を行った。また、得られた結果を整理し、「京間型スケルトン・インフィル住宅」運営マニュアルとしてまとめた。さらに、プロジェクトのプロセス全体の分析を行い、要求と設計の対応関係を明らかにすることによって、この開発で用いられた一連の技術を体系的に整理し、居住者の様々な要求に対応可能な、多様な住まいを実現するシステムとして完成させた。 以上の成果の実地検証を目的として、「京間型スケルトン・インフィル住宅」の考え方を応用した戸建て住宅一件を、研究協力者との協働により完成させた。完成させた住宅は、「適切なモデュールにより整理され、生活行為の起点となる構造壁」と「可動間仕切りおよび位置変更等が可能な家具収納」によって構成されるものであり、「京間型スケルトン・インフィル住宅」の考え方が実際の建物に対しても有効であることが確認できた。 昨年度までの研究成果については、日本建築学会の査読付き論文集に投稿し、採録された。ここでは、集合住宅のフレキシビリティを定量的に予測する方法について述べている。
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