日本のベロタクシーについては、運行されている22地区を対象として、各事業者のホームページ等を基に基礎的情報の収集を行い、運行形態に特徴のある都市(函館、仙台、喜多方、新潟、敦賀、名古屋、那覇)において事業者やドライバーへのヒアリング調査及び走行環境の実地調査を行った。その結果、ベロタクシーの運行特性を走行空間、利用目的、ドライバーの3つの視点で整理することができた。さらに運営面での課題として、走行エリアの制約解除、ドライバーの確保、運行効率の向上、広告収入の確保、事業者相互のネットワーク化の5点を指摘した。 インドネシアのベチャについては、7月にスラバヤ市、ソロ市、ジョグジャカルタ市の3都市において走行空間特性調査と交通量調査を、10月にはジョグジャカルタ市において利用者及びドライバーへのアンケート調査(サンプル数 : 各160)を、2月にはジョグジャカルタ市において事業者と行政担当者へのヒアリング調査をそれぞれ行った。その結果、自転車タクシーが市民生活の上で重要な交通手段となっていること、自転車タクシーに適した走行空間としてメインストリートであるマリオボロストリートに設置してある側道が重要な役割を果たしていること、低賃金や長時間勤務などドライバーの労働条件が厳しい状況であることなどが明らかとなった。 次年度は、日本のベロタクシーについては引き続き走行都市でのヒアリング調査を、アジアではベトナムのシクロやバングラディッシュのリキシャーなどについて現地調査を実施し、自転車タクシーが走行する都市空間特性を分析する予定である。
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