日本のベロタクシーについては、各事業者のホームページ等を基に基礎的情報の収集を行い、横浜市、滋賀県彦根市、島根県大田市において事業者やドライバーへのヒアリング調査及び走行環境の実地調査を行った。その結果、前年度に行ったヒアリング調査の結果とあわせて、全国各地のベロタクシーの運行特性を体系的に整理することができた。さらには、持続的な運営に向けた課題として、走行エリアの制約解除、ドライバーの確保、運行効率の向上、広告収入の確保、事業者相互のネットワーク化の5点を指摘するとともに、北九州市門司港地区においてベロタクシーを導入検討する上での課題と方策を明らかにした。 ベロタクシーの発祥の地であるドイツの自転車タクシーについては、2009年8月にベルリン市、ハンブルグ市、フランクフルト市など9都市を訪れ、ドライバーへのヒアリング及び自転車タクシーの走行環境や都市構造などについての実測調査を実施した。さらには2010年1月に、自転車タクシーを運営しているベルリン市の2社及びケルン市の1社を訪問し、事業概要や運営体制についてのヒアリングを行った。その結果、ベロタクシーは公共交通機関としてではなくあくまでも広告媒体としての位置づけがされていること、持続的な運営のためには商業、観光客、人口などの面において一定規模以上のマーケットがないと成立することが難しいことなどを明らかにした。 アジアの自転車タクシーについては、シンガポール、マラッカ、マカオの3都市において走行空間や待機空間の実地調査を行うとともに、料金体系や利用者の特性などについてドライバーへのヒアリング調査を行った。これらの都市では観光利用が主で、料金設定も高く、前年度に調査を行ったインドネシアとは交通機関としての位置づけが全く異なっていることが明らかとなった。
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