本研究は、都市集合住宅の環境負荷低減と住宅配置により形成された都市空間の環境負荷低減のことを考え、環境負荷の低い都市空間を形成できる計画法を求める研究である。都市の環境負荷の問題を解決する技術には、まず空間配置の問題がある。技術の発展に伴い、環境負荷の低い住宅が実現できるが、その上で、適切な住宅配置ができれば、都市全体の環境負荷の削減目標も実現できる。目標達成後余剰分の環境負荷枠は生活質を高めるように使え、コンパクトシティ負の副次効果が減らせると考えられる。本研究は、環境負荷はより小さく、生活の質はより高くなるように、住宅建築の単体と都市全体の両側から考え、環境負荷の低い都市空間を形成できる計画法を求めることが目的とする。 本年度は、都心部に供給している集合住宅の規模・形状とライフサイクルCO2排出量(以下「LCCO2」)の関係を明らかにするための調査を展開していた。地方都市の岡山市を中心として、都市集合住宅の規模・形状、個別住戸の戸型についての調査を行った。調査対象は2000年岡山市「住宅マスタプラン」で決められ「中心市街地」の範囲内でのすべでの分譲マンションである。インタネット検索でこれらのマンションをリストアップした。岡山市役所に保管している建築確認申請の「建築計画書」で分譲マンションの建築基本データを収集した。県立図書館にある過去10年間の住宅地図によつて、分譲マンションの配置、および敷地の従前用途を調べた。調査に得たデータを整理し、都心部近年供給された集合住宅の規模・形状・戸型などの実態を明らかにした。それと、過去の研究で明らかにした京都市の中心部分譲マンションのデータを比べて、地方都市の岡山と大都市の京都との差を分析した。その成果を2008年10月に行った国際会議で発表した。
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