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2011 年度 実績報告書

歴史的建造物の保存修復における無形的な要素に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20760434
研究機関学習院女子大学

研究代表者

ウーゴ ミズコ  学習院女子大学, 国際文化交流学部, 准教授 (80470029)

キーワード歴史的建造物 / 保存 / 修復 / 無形遺産 / 文化財 / イタリア / 伝統的技術
研究概要

本研究は、現在、有形文化財として理解されている歴史的建造物の無形的な要素(伝統的な建築知識や技法)に注目するものである。日本や他文化圏(とくにイタリアをはじめとする酉洋諸国)の文化財建造物保存行政において、伝統建築の技術や関係知識といった無形的要素がどのように認識されたのか、保護対象として法的に認められるようになったのか、あるいは認めようとしているのか、以上に関してその歴史的推移を明らかにすることが目的である。
前年度と同様、継起的に国内と海外調査、専門家との意見交換を行ったが、本年度はとくに文化財建造物の保存に関する国際的な規定と実施の調査を進めた。特に、ユネスコやイコモスといった国際関連専門組織の出版物や活動を分析した。世界の様々な地域で活躍している保存建築家の実務について理解を深めることができた。どの地域でも、伝統的建設技術の再発見に取り組んでいることが確認できた。しかし、伝統的技術が継承されている地域は存外少なく、その探求や再現に向けての研究に取り組んでいる傾向が強いことが分かった。このような試みは、建築そのものを超え、自然を尊重する知識がより良い人間環境を作り出すことに役立てられている。日本では、伝統的手法の継承意識や制度が整っており、法律的にも守られているが、こうした知識は現在の主要な建設活動とは切り離されている。それに対して、特に西洋で再現されている伝統的建設技術はむしろこれからのまちづくり、環境保護、国際開発協力に利用され、将来に向けて利用されていることが、大きな違いであることが理解できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

おおむね計画通り進んでいるが、海外の資料の収集を重点的に進める必要がある。

今後の研究の推進方策

昨年度に引き続き、日伊比較考察として、日本の「文化財保護法」が定める文化財の保存技術の選定、保持者制度の可能性を深めると同時に、新しく建設される建築物における伝統技術の利用について研究を進める。つまり、今まで「保護」を中心に研究を進めてきたが、むしろ「活用」を視野に入れる。歴史的建造物保護の根本的な課題としては、新と旧のバランスが挙げられる。まずは、どのような技術が「伝統的」であると認識されていることを再確認する必要がある。そして、それらが保存修理事業や新築でどのように使われてきたのか、その可能性を探る。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 図書 (2件)

  • [図書] 文化財保存学入門2012

    • 著者名/発表者名
      秋田貴廣
    • 総ページ数
      169-191
    • 出版者
      丸善プラネット
  • [図書] Il restauro in Giappone : architetture, citta, paesaggi2011

    • 著者名/発表者名
      Giorgio Gianighian
    • 総ページ数
      55-64
    • 出版者
      Alinea Editrice

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公開日: 2013-06-26  

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