研究概要 |
本年度の研究では主に、フランス防衛歴史資料館(service historique de la defense)、フランス防衛歴史資料館ロリアン支所(service historique de la defense a lorient)、ブレスト公立公文書館で資料調査を行った。 防衛歴史資料館では、昨年度の調査で収集した「横須賀製鉄所・関係資料リスト」(「ARSENAL JAPONAIS DE YOKOSUKA construit par la France」)に掲載された資料の一部を収集した。ここには、横須賀製鉄所の1号ドックや配置計画図等も含まれている。その他、首長ヴェルニー、医師サヴァティエ,工事課長ゴートランの人物情報綴り一式、横須賀製鉄所関連の雑誌記事「Ports et arsenaux l'arsenal de Yokoska」『La revue de la Maritime et Coloniale』(1873年)等を収集した。 ブレスト公立公文書館では、横須賀での煉瓦製造を成功させた「レオン・ボエル(Leon Boelle)」の出生届と死亡届を確認し、家族構成等が判明した。この他、横須賀製鉄所に勤務した3名のブレスト出身者の出生届を確認した。また、横須賀製鉄所に勤務したブルターニュ地方原住民のBreton人に関する調査を行った。 防衛歴史資料館ロリアン支所では、アンドレット(Indret)工廠出身者の調査を行った。ここでは、初代工事課長・機械課長ゴートランのアンドレットから横須賀製鉄所への派遣を示す資料や勤務実績書、手紙等が確認された。加えて、その他のアンドレット出身者の出生地や職歴、フルネーム等が新たに判明した。更に、経歴不詳であった1名がアンドレット出身者であること等を確認した。 以上の収集資料は日本側の資料との対比的考察によって新たな知見を与え得る研究資料であり、翻訳作業の継続と論文化を引き続き推し進める計画である。
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