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2009 年度 実績報告書

古代中世東アジアにおける八角塔・八角堂の構造と意匠に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20760436
研究機関独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所

研究代表者

箱崎 和久  独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 遺構研究室長 (10280611)

キーワード八角塔 / 磚塔 / 内蒙古 / 遼寧省 / 斜キョウ / 組物
研究概要

21年度は、中国内蒙古自治区・遼寧省に残る遼代の八角塔を実見・調査した。あいにくこれらの塔は、内部空間をもたないものが多く、内部へ入ることができたものは一つもない。したがって当初目的としていた、建物から挺出する組物が内部に引き込まれた際の構造については不明である。ただし組物について興味深い知見を得た。この地域の建築は、斜キョウ(木偏に共)、すなわち詰組となる組物が建物に対し直交方向だけでなく、左右斜め45度方向にも挺出する組物をもつ場合が多いのが特徴である。これは磚塔の場合も同様で、斜キョウを含め木造を模した精巧な組物を造るものが多い。そのなかで八角隅の組物については、木造であれば各辺に平行する肘木は、壁面あるいは隅行から挺出した場合も直材のまま伸びるため135度の角度を必ず保つ。時期的には新しいが遼寧省の瀋陽故宮大政殿(1625年頃)がその例である。ところが斜キョウをもつ場合、上記のようにすると、斜キョウ(詰組)部分と隅部分とで、挺出する組物のなす角度が異なることになってしまう(斜キョウの場合は90度程度)ためと推定されるが、隅部分でも斜キョウと同様、挺出する組物のなす角度を斜キョウと同程度にとる場合がある。このとき各辺に平行する肘木は、隅行肘木より挺出する部分で22.5度の角度をなして折れることになる。磚造のためにできる技術であり、木造を模した場合よりも発展した形態とみられる。このような事例が、内蒙古自治区のフフホト万部華厳経塔(11世紀中期)、慶州白塔(1049年)、中京半裁塔(1057年)にみられる。ところが、遼寧省の錦州広済寺塔(1057年)、義県嘉福寺塔(12世紀)、遼陽白塔(12世紀)は木造を模した形式で肘木が折れておらず、今回の調査に限れば、地域によって形式が異なることになる。昨年の検討で判明した日本の八角堂塔でみられる、建物の各辺に直交する組物はこの内蒙古自治区・遼寧省ではみられなかった。

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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