研究概要 |
Auナノ粒子触媒は,サイズ依存性だけでなく顕著な担体依存性を示すことが知られている.担体との界面近傍でのAuナノ粒子の電子状態の変化が一因となっていると考えられている.それ故,担体とナノ粒子の界面ストイキオメトリ,面方位,格子定数の差などが重要と考えられる.Auよりも格子定数の小さいペロブスカイト結晶に着目し,ナノヘテロモデル触媒を作製し,TEMを用いた界面での方位関係の高分解能観察,電子線ホログラフィー法による平均内部ポテンシャルの評価を行った. チタン酸ストロンチウム単結晶基板をTEM観察用に薄片化後,Auを真空蒸着によって担持し,Au/SrTiO3モデルナノヘテロ触媒を作製した.観察の結果、金の粒子サイズが2nmよりも大きい場合は、格子ミスマッチはAu/TiCの6.1%と比べて小さいにもかかわらず,コヒーレントな関係にあるAuナノ粒子は見られなかった.しかし、粒子サイズが1nm以下になると,Au(200)[001]//SrTiO3(100)[001]の方位関係となることが見いだされた.また,この格子定数差は金ナノ粒子の格子がひずむことで緩和されていた. 平均内部ポテンシャルのサイズ依存性に関しては,2nm以上のランダムな方位関係を有する範囲では,サイズ減少と共にポテンシャルが増加する傾向が見られたが,エピタキシャルな方位関係サイズにまで小さくなると逆に下がり始める傾向があることがわかった.界面の格子定数差による内部歪みが平均内部ポテンシャルに影響していることが考えられる.
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