従来にない高耐久性を具備した太陽電池用AlNセラミックスパッケージの実現に向けた基盤技術の創出を目標に、独自のアルミナ還元窒化法を駆使した易焼結性AlN超微粒子合成プロセスの確立、およびMnドーピングによるフォトルミネッセンス特性の発現に関する基礎的研究を推進した。 遷移アルミナのナノサイズ粒子にMn硝酸塩水溶液を含浸し、NH_3-CH_4混合ガスを用いて1200-1400℃の低温で還元窒化処理を行うことにより、低濃度のMn (0.01-0.40mol%) の均一分散が達成されたMnドープAlNナノ粒子を合成することが可能となった。本合成条件によりWurtzite型構造のAlN単相が得られ、X線回折により評価した1次粒子径は29nm、比表面積径は59nmと極めて微細高活性なナノサイズ粒子が得られた。ICP-AESによる化学分析結果から、Mnドープによる母体化学組成の顕著な差違は認められず、不純物炭素含有量が0.1%以下の低いレベルに抑制されていること、および理論組成に一致したMnドープが達成されていることが確認された。 合成されたMnドープAlNナノ粒子のフォトルミネッセンス特性の測定を行った結果、波長約230-320nmのブロードな励起帯により約600mm (2.1eV)をピークとするMnイオンの3d電子遷移に由来する赤色発光を示すことが確認され、太陽光スペクトル紫外成分の有効利用とシリコン太陽電池素子の波長感度特性に適合した波長変換機能が発現可能となることが確認された。
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