研究概要 |
本申請研究では顕微鏡技術,分光技術,及び理論計算技術を複合利用して結晶界面ノンストイキオメトリーを原子分解能で定量化し,機能設計のための指針を得ることを目的としている. 平成21年度においてはアルミナ双結晶粒界の構造解析と欠陥形成エネルギーの第一原理計算を行い,結晶界面におけるノンストイキオメトリーの形成挙動を調べた.その結果,アルミナ界面においてはバルクよりも優先的に空孔が形成し,その欠陥形成エネルギーは結晶界面における構造歪みと関係していることを突き止めた.また,同結晶界面における拡散実験及び計算を行い,原子構造-欠陥形成-粒界拡散挙動の相関性を明らかにすることができた. また,SrTio3についても双結晶を作成し,粒界構造と組成の熱処理依存性を調べた.その結果,対称性の低い粒界ほど欠陥を形成しやすく,さらにその欠陥形成のしやすさが結晶界面における格子歪みと密接に関係していることを突き止めた.また,熱処理を施すことにより界面のカチオン不定比性が変化し,界面原子構造が転移することを実験的に検出した.そのような界面構造転移の起源を明らかにするために第一原理計算を行い,カチオン不定比の形成に伴って粒界構造の安定性が変化していることを突き止めた. 本申請研究を通し,以下のような成果を得た. 1.結晶界面構造の完全決定法の確立 2.結晶界面におけるノンストイキオメトリー検出法の確立 3.結晶界面における原子構造とノンストイキオメトリー形成挙動の相関性の解明 4.結晶界面ノンストイキオメトリー形成挙動と物性との相関性の解明
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