研究概要 |
固体材料の弾性定数と圧電定数は、材料のあらゆる力学的な特性・機能と相関を持ち、一度計測されれば恒久的に値が修正されることのない基礎物性値である。将来、MEMSデバイスやマイクロマシンといった超微小デバイスを精密に設計・制作するためには、これらの材料定数を精密に計測することが必要不可欠となるが、従来の計測法では原理的問題のため、計測結果は深刻なバラツキを示し、上記の超微小デバイスを精密設計する上で大きな障害となっている。そこで本研究では、共鳴超音波スペクトロスコピー法(RUS法)と呼ばれる計測手法を駆使することにより、様々な先端圧電性材料の弾性・圧電定数を精密計測するとともに、得られた計測結果を理論解析することにより、実験・理論の両側面から上記固体の基礎的な力学特性を明らかにすることを目的としている。今年度は、主に機能性酸化物C12A7, α-サファイア、リチウムタンタレイト、リチウムナイオベイト、ランガサイトの弾性・圧電定数計測を行った。これらの物質に対しては、いずれも当初の予定通り良好な計測結果が得られ、その一部は、現在投稿論文として取りまとめ中である。また、本計測法を基にして、バルク金属ガラスに対する弾性定数計測、および高圧環境下での剛性率計測といった応用研究も行った。これらの成果がもととなって、研究代表者は本年度、日本金属学会の研究奨励賞を受賞し、また今年の1月にチリ・サンチアゴで開催された超音波に関する国際会議(ICU2009)において招待講演を行った。
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