研究課題
本年度は、原子的に平坦なダイヤモンド(111)表面の大面積形成を目的に、(1)直径100μm以上のサイズのステップフリー表面の形成、(2)ダイヤモンド核形成の機構を解明に関する研究を実施した。(1)目的のサイズを達成するために新しくマスクを作製し、成長条件の最適化を行った。その結果、マイクロ波プラズマ化学気相堆積法を用いて、メタン/水素比を0.02%以下にすることで、約100×100μm^2の原子的に平坦なダイヤモンド(111)表面の形成に成功し、課題(1)を達成した。しかし、成長丘が形成されることがあり、平坦面の成功率は10%以下であった。そのため、原子間力顕微鏡及び透過型電子顕微鏡を用いて、その成長丘の原因及び成長機構の解明を行った。その結果、その原因は螺旋転位であることが分かった。現在は、螺旋転位の原因及びその抑制方法を探索している段階である。(2)ステップフリー表面上への核形成及び島成長を、メタン/水素比を0.05〜0.5%と制御することで表面上でダイヤモンドの核形成を可能にし、複数の島を形成することに成功し、課題(2)も達成した。この構造は"ナノメートルスケールのものさし"として適用可能であると考えられる。その成果は、Applied Physics Expressに掲載され、2009年4月17日に産業技術総合研究所からプレスリリースされた。また、その記事は毎日新聞(4/18夕刊8面)、朝日新聞(4/19朝刊2面)、日本経済新聞(4/20朝刊34面)、日刊工業新聞(4/20朝刊21面)等、計6紙に掲載された。これらの成果について、第38回結晶成長国内会議において発表を行い講演奨励賞を受賞した。また、The second international symposium on interdisciplinary Materials Scienceにおいて招待講演を行った。
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Applied Physics Express Vol.2, No.5
ページ: 055001
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2009/pr20090417/pr20090417.html