研究概要 |
本研究では,一つ一つの粒子にナノサイズの単一量子井戸構造や、多数の量子ドットが埋め込まれた微粒子の合成を行う。このナノ構造を有した粒子に期待される効果は、量子構造へのキャリア局在による非発光過程の抑制及び発光効率の向上、量子閉じ込め効果による遷移確率の向上および発光波長の制御であり、現存の蛍光体とは異なった非常に高い機能を有した発光材料粒子の開発として期待される。本研究では、ZnO粒子を核とし、Cdの酸化物との混晶により、核粒子の表面修飾を重ねることによりZnO系量子井戸発光層及びZnO表面障壁層の形成を行い、レーザー発振の観測を最終目標とする。ZnCdO発光層の形成にあたり、その物性の評価を行うために、ZnCdO粒子の合成を行った。将来的に積層構造を形成することを念頭に、低温プロセスにおける合成方法の確立を目指した。液相合成法により、ZnおよびCdのアルコキシド溶液を作製し、これを300度程度の低温で、オートクレーブによる高圧下での結晶成長を行った。その結果、常圧において合成した試料に比べ、結晶中の酸素欠陥を著しく抑制することに成功した。約16気圧でオートクレーブ処理したZnCdO粉末において、最も発光強度の大きいものを得ることができた。発光特性を調べたところ、ZnO系結晶に起因した励起子の発光が得られ、欠陥からの発光は殆ど抑制することができた。
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