研究課題
極低炭素鋼(Fe-11ppmC)を供試材として、巨大ひずみ形状不変加工の一つであるHPT(Higk-Pressure Torsion)加工(圧縮圧力5GPa,回転速度0.2rpm)による結晶粒の微細化過程、および、作製したサブミクロン結晶粒バルク材の優れた力学特性を調査した。(1) HPT加工(回転回数N=5)した組織をFESEM-EBSDにて観察した結果、相当歪量ε_<eq><40の領域では、HPT加工の剪断方向に結晶粒が伸長しながら粒内にサブグレインが発達し、歪量の増加に伴って高角化する過程が観察された。また、ε_<eq>>40の領域では幅200nm,長さ300nm程度のサブミクロン結晶粒組織となり、伸長した結晶粒を分断するようにサブグレインが発達した。ε_<eq>>40では平均結晶粒径に大きな変化はなかった。いずれの歪量においても、アスペクト比(円周(剪断)方向の平均粒径/半径方向の平均粒径)は1.5程度であった。平均結晶粒径に大きな変化が見られなかったε_<eq>>40の領域でもアスペクト比が変わらなかった理由として、方位回転による合体と分断が生じていると考えられる。(2) ミニチュア試験片を用いた引張試験において、N>5(ε_<eq>>45)のHPT加工材では、引張強度TS=1.9GPa,破断伸びEL=20~30%を示した。降伏後の著しい加工硬化は、引張試験中の結晶粒微細化が一つの要因であると組織観察より考えられる。(3) 上記のようにHPT加工により高強度・高延性の両立を達成できたが、高強度化に伴う水素脆化が危惧されたため、ボールを押し当てて力学特性を評価するスモールパンチ試験を水素雰囲気または真空中にて行なった。TS=1.9GPaを示したN=5材では明らかな水素脆化を示したが、N=5材を200℃で焼鈍して低転位密度にした試料(TSは同等)では水素脆化を抑制できた。
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