研究概要 |
本研究では粒子径の異なる二酸化チタン超微粒子やチタニアゾルを熱還元処理し光触媒を作製した場合の(1)酸素欠陥形成(酸素引き抜き)、(2)異種元素のドープ、(3)結晶形の制御について明らかにする事を目的としている。平成21年度は(1)と(2)の同時実現の可能性について二酸化チタンの低次化処理を検討した(検討1)。またナノ粒子原料を流動層で熱処理した場合に(2)がどの程度実現できるかを試験的に空気雰囲気で検討した(検討2)。 検討1では、原料として市販のST-01(アナターゼ型)およびこれをフッ化アンモニウム水溶液(N,Fドープ源)と混合して乾燥させた試料を用意した。熱処理は水素をベースに四塩化チタン蒸気を0~1.7kPa混合したガスの流通したで773~1173Kにて2時間行った。四塩化チタン蒸気がある場合はない場合に比べST-01試料の黒色化が873Kから著しくなり、XRD分析からルチル相への一部転移やTi407の結晶のピークが確認された。可視光照射下によるアセトアルデヒド吸着・分解試験の結果、これら低次化した試料はアセトアルデヒドをほとんど吸着しないことが分かった。N-Fドープ源がある場合は773Kよりも873Kの方がやや吸着する傾向が見られたが、773Kではその逆であった。いずれの試料もCO2への完全分解は起きていなかった。 検討2では、原料として市販のST-01(アナターゼ型)に尿素およびアンモニア水(N源)を混合した10~40g/L-水の濃度の懸濁液を用意した。直径0.3mmのアルミナボールを0.05mの高さまで充填し、623Kで0.5m/sにて流動化しているところへ、懸濁液原料を滴下供給し装置内で熱処理を行いながら生成物をガスとともに流出させサイクロンにて回収した。懸濁液濃度が20g/L-水のときに生成物試料の可視光吸収性が最大となり、可視光吸収においては懸濁液濃度に最適値が存在することが分かった。
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