研究概要 |
本研究は, 陽極接合法を利用してガラス中へ金属元素を導入し, 金属微粒子の分散を図ることで, ガラスのレーザ加工特性を大幅に向上させることを目的としたものである、特に多種の金属元素を導入することにより, ガラス内部に光吸収特性の異なる複数の領域を形成し, 多波長での加工や, 目標加工形状に柔軟に対応可能なレーザ加工用ガラスを製作する. 平成20年度の実施内容は以下の通りである. [1]導入金属に銀, 銅, 銀/銅合金を, ガラス基板にホウケイ酸ガラスを用いてレーザ加工特性の調査を行った. その結果, いずれの金属・合金を用いた場合にも加工閾値が大幅に低下し, また導入領域では割れ欠けがなく, 滑らかな加工面を有する精密加工が可能となった. また銀/銅合金を用いた場合には, 銀と銅の移動速度の違い(銀>銅)により, ガラス表面近傍には銀と銅の, より深い領域には銀のみを含有するガラスの製作が可能となった. [2]銀と銅をそれぞれ単体で含有させた場合の光吸収特性を調査した結果, 特に紫外領域(250〜400nm)において大きな差異が生じることが分かった. これらの結果から, 波長の異なる2つの紫外線(例えばYAGレーザ第3, 4高調波等)を用いることによって, それぞれの金属含有領域の選択的な加工が実現できることが示唆された. 今後は, 他波長領域に光吸収を有し, かつレーザ加工特性の向上に有効な他の導入金属を探索することが必要と考える.
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