研究概要 |
初年度は既存のSi素子を用いた溶射飛行粒子計測装置を用いて溶射粒子測定技術の高度化を図ると共に,1000K程度の低温溶射粒子を検出可能とする光学素子の選定を行った.具体的には二次ガスの導入により粒子温度を大きく変化させることができるウォームスプレープロセス下において,SUS溶射粒子及びWC-Co溶射粒子を各種光学素子を用いて検出できるか系統的に調査した.まず,Si素子と同様な光学系を組めることから,高度な飛行粒子計測が可能でかつSiよりも近赤外領域に感度を有するため低温の粒子を検出することが可能と考えられるInGaAs素子を用いて溶射飛行粒子の検出をおこなった.当初は個々の溶射粒子からの放射光を検出する光学系を検討していたが,粒子の放射光強度が高温粒子プロセスであるプラズマ溶射プロセスや高速フレーム溶射プロセスに比べて非常に微弱であったため,飛行粒子を群としてとらえ,検出強度を増大させる手法に変更した.しかしながら,この集団粒子検出法を用いても,本研究の目的である1000K程度と考えられる低温粒子条件下での粒子検出は困難であった.そこで,低温溶射粒子を計測するためにより長波長側である8-14μmに感度をもつマイクロボロメーターを用いたところ,この低温粒子条件下においても溶射粒子を検出することが可能となった.そこで,本素子を用いて,予備計測として,ウォームスプレープロセスにおいて,二次ガス流量及び粉末供給量を変化させ,SUS飛行溶射粒子群からの放射光強度を系統的に計測した.得られたデータを数値計算結果と比較したところ,相対的な傾向はよく一致していた.
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