研究概要 |
本年度はまず低温溶射粒子プロセスであるウォームプロセス下において,昨年度選択した8-14μm波長域における粒子放射光強度の計測追実験をおこなった.画像解析タイプに加え,より実用的な単視野タイプの計測装置を製作し比較したところ,同一の対象を計測しているにもかかわらず,条件によっては正反対の結果を生み出すことが判明した,本装置を用いて当初の目的である応用計測に進むことも可能であったが,不確定要素を減らし将来性を高めるため,基礎データの収集を続けることにした.具体的には光学バンドパスフィルターやInSb素子の導入により,1.55μm/3.9μm/3-5μm/8-11μm/11-14μmの幅広い感度域について粉末供給量,二次ガス流量を変化させたときの計測器の応答を調べた.その結果,二次ガス流量を増加させたときは各感度域とも放射光検出強度に低下が見られ,粒子温度の低下を示す数値計算結果と矛盾しなかった.一方で,粉末供給量を変化させたときには感度域によって正反対の結果を生み出すこともあり,計測視野や燃料中の不完全燃焼カーボンなどが計測に影響を与えている可能性が考えられた.一方で,InSb素子を用いた計測では数値計算結果から1000K以下と考えられる温度領域の粒子を検出することができた。このことはウォームスプレープロセスのみならず,近年研究が盛んになっているコールドスプレープロセスの粒子計測に本装置を応用できる可能性を示唆しており,プラズマ溶射用に開発された従来のSi素子を用いた高温粒子計測装置に続く,低温粒子計測装置の開発に貢献する基礎データを得ることができたと考える.
|