研究概要 |
摩擦攪拌プロセスを用いてバイモーダル組織を制御する為には、微細粒子を金属材料中に自在に分散させる技術の確立が重要である。平成20年度においては、代表的なマグネシウム合金であるAZ31の板材に加工した溝に微細粒子を充填し、当該領域に摩擦攪拌プロセスを施すことで組織の微細化が達成できることを確認した。また、外部から微細粒子を添加することなく、材料(SKD11)自身に含まれる粒子(クロム炭化物)を摩擦攪拌プロセスによって破砕し、当該微細化された粒子を組織制御に利用する手法も検討した。摩擦攪拌プロセスの予備処理として、SKD11板材表面にレーザ照射を施し、サブミクロンのクロム炭化物が母材結晶粒界に偏析する急冷凝固組織を形成させることで、SKD11をナノ組織化(母材結晶粒径: 〜200nm, クロム炭化物: 〜100nm)することに成功した。また、ナノ組織化したSKD11は、これまでに報告されているSKD11の硬度を大幅に上回るピッカース硬度(900HV以上)を有していた。当該手法によれば、板材への溝の加工や粒子の充填等が不要であり、プロセスの自動化も容易である。粗粒を意図的に形成させてバイモーダルナノ組織を実現するまでには至っていないが、硬質粒子を含有する金属材料の組織制御手法として、非常に効果的な手法であると思われる。 平成20年度は摩擦攪拌プロセスに用いるツールの回転速度、移動速度、ツール形状、添加粒子のサイズ、添加粒子の形状、添加粒子の量等を制御し、種々の金属材に関してバイモーダルナノ組織の実現を目指す。
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