使用するAl_2O_3繊維の組成を変えた場合の、プリフォーム圧縮成形後の繊維長さの分布を比較した結果、SiO_2を含まない繊維とSiO_2を3%含んでいる繊維では、繊維の折れ方に大きな違いが見られた。前者の場合は、50ミクロン以下に繊維長さのピークが現れ、後者の場合は50~100ミクロンに繊維長さのピークが現れた。前者は、後者と比較してSiO_2が入っていないために、硬くて脆い性質だったためと考えられる。Al粒子量が増加することによりAl_2O_3長繊維とAl粒子の接点が多くなり、より細かく切断された繊維が観察されたため、プリフォーム作製時に導入するAl粒子量が少ないほど、圧縮成形後のAl_2O_3繊維長さを強化に適した一定の長さに制御し易くなることがわかった。繊維体積分率が増加することによりAl_2O_3長繊維が強く圧縮され、Al粒子との接触点により大きな応力が加わり繊維が細かく切断されるため、Al_2O_3繊維の体積分率を変化させることにより、Al_2O_3繊維の長さを調節できることがわかった。繊維の分布、組織観察、硬さ試験の結果を総合すると、Al_2O_3繊維の体積分率は7.5vol%、Al粒子量が0.1gの条件が、最適であることがわかった。さらに、ビッカース硬さ試験の結果、溶浸方向に垂直な面より、平行な面がより強化されていたことから、作製したMMC中のAl_2O_3短繊維は、二次元に配向していることがわかった。
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