大きさが1ナノメートルから100ナノメートル範囲のナノ粒子材料は、セラミックス材料、電子材料、触媒材料、医薬品材料などとしてキーとなる材料であるが、大きさが揃っており、高純度で、組成および結晶構造がよく制御されている必要がある。さらに、ナノ粒子をナノ構造体として利用するには、ナノ粒子の自己組織化によるナノ構造体の形成技術が重要となる。本研究では、大きさが揃って、しかも、高結晶性で化学量論比の高いナノ粒子を高速で合成できる新規噴霧熱分解法を開発し、その合成されたナノ粒子を用い、今まで開発した噴霧乾燥法による規則的なポアを持つナノ粒子のポーラス構造体の微粒子の製造を行うことを目的とする。 本年度の計画はフラックス塩、ポリマーのほかに、界面活性剤、燃料剤を用いた新規噴霧熱分解法によるナノ粒子の合成に関する研究であり、詳細を以下のように進めた。まず、温度分布が精密に制御できる噴霧熱分解装置を製作した。この装置で、噴霧装置として大容量の液滴が発生できる強力な二流体ノズルなどを用いた。その他にも減圧噴霧熱分解装置の開発も行った。次に、製造された噴霧熱分解装置を用いて、単純酸化物系(SiO_2)、複合酸化物系(ITOおよびBaTiO_3)のナノ粒子/塩の複合体微粒子の合成実験を行い、ナノ粒子捕集装置によりナノ粒子を捕集した。噴霧熱分解法を用いてナノ粒子を合成するため、一般的な液相または固相プロセスと比較して、不純物が少なく、結晶性が高く、高機能性材料を得ることができた。得られたナノ粒子のTEMもしくはSEMによるサイズ、分布および結晶性、化学組成などの特性がどのように、操作条件、添加物の種類、添加物の濃度、プリカーサーの種類により変化をするかを明らかにした。
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