大きさが1ナノメートルから100ナノメートル範囲のナノ粒子材料は、セラミックス材料、電子材料、触媒材料、医薬品材料などとしてキーとなる材料であるが、大きさが揃っており、高純度で、組成および結晶構造がよく制御されている必要がある。さらに、ナノ粒子をナノ構造体として利用するには、ナノ粒子の自己組織化によるナノ構造体の形成技術が重要となる。本研究では、大きさが揃って、しかも、高結晶性で化学量論比の高いナノ粒子を高速で合成できる新規噴霧熱分解法を開発し、その合成されたナノ粒子を用い、今まで開発した噴霧乾燥法による規則的なボアを持つナノ粒子のポーラス構造体の微粒子の製造を行うことを目的とした。 本年度の計画は前年度に引き続き界面活性剤などを用いた新規噴霧熱分解法によるナノ粒子およびポーラス粒子の合成に関する研究を行い、詳細を次のように進めた。1)界面活性剤などを添加して、種々のナノ粒子を合成した。原料にポリマー、界面活性剤を添加することによって、ナノ粒子を合成した。合成した粒子を用いて、成型体を作成し、光学特性、蛍光特性などの特性を評価した。この結果から、特性が最適となるナノ粒子の特性を明らかにした。2)噴霧熱分解法によるナノ粒子の合成メカニズムを実験的に検討し、大きさの揃ったナノ粒子が合成できる条件を明らかにした。3)噴霧量を増加させて、ナノ粒子合成技術のスケールアップ化を検討した。4)噴霧熱分解法によるナノ粒子の生成過程に及ぼす、液滴のサイズおよび濃度、溶質濃度、温度分布を数値計算により明らかにした。5)粒子の種類を単純酸化物から、ZnO、ZrO_2、ITOに変化させて、それぞれのナノ粒子からなるマクロポーラス微粒子を製造し、電気および光散乱、光透過特性を検討した。6)マクロポーラス単純酸化物微粒子を界面活性剤の溶液に浮遊させて、粒子の流体抵抗を計測し、吸入薬剤への応用を検討した。
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