研究概要 |
本研究は,石炭・バイオマスのガス化プロセスなどで発生するタールと総称される多環芳香族化合物を含む混合ガスの気相熱分解,部分酸化,水蒸気改質反応を高精度に予測できる素反応速度モデルの構築を目的とする.このようなモデルは,高効率のガス化プロセスを設計するにあたって重要である.実験として,2種類の石炭,4種類のバイオマス(セルロース,コーヒー搾り滓,スギおが粉,ヤシ殻)を急速に熱分化したときに得られる揮発成分の気相熱分解,部分酸化,水蒸気改質,CO_2改質実験を実施した.またこれらの反応を予測するために素反応からなる速度モデルを構築し,これを用いたシミュレーションも実施した.最終的には石炭,バイオマス初期熱分解生成物に含まれる主要化合物の気相反応を網羅する543個の化学種と8175個の素反応からなる反応機構を構築した.この反応機構を用いたシミュレーションにより,主要な生成物の実験データを高い精度で予測することに成功し,本研究の目標を達成することができた.
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