バイオマスガス化の際に生成する揮発成分(低分子気体とタール)は、固体残渣であるチャーと相互作用を起こすことが指摘されているが、現象が複雑であるために、詳細に関してはこれまでほとんど明らかになっていない。特にタールについてはバイオマスガス化において問題となっているため、その反応機構ならびに発生抑制や分解促進に関する知見が重要となる。 本年度は、昨年度開発した揮発物質とチャーの接触時間を制御できる粒子落下式/固定層熱天秤の二段反応器を用いて、バイオマス主成分の一つであるセルロースから排出されるタール主成分の一つであるレボグルコサンや難分解性タールの一つであるナフタレンをモデルタール物質として用いて、水蒸気ガス化におけるタールと木質バイオマスチャーとの相互作用の影響を実験的に測定した。 その結果 1)レボグルコサンをフィーダによる連続供給した場合の木質バイオマスガス化では、バイオマスの質量は一定割合で減少するものの、反応過程で水素と二酸化炭素が大量に発生した。これは主として連続供給されたレボグルコサンの分解によると考えられる。 2)レボグルコサン33wt%および50wt%添加して成型した木質バイオマスの水蒸気ガス化では、レボグルコサン50wt%の方がレボグルコサン30wt%の場合より水素の発生が抑制された。レボグルコサン単独の水蒸気ガス化は、反応初期において主として一酸化炭素および水素が発生する。 3)ナフタレン25wt%および50wt%添加して成型した木質バイオマスの水蒸気ガス化では、いずれの場合も、木質バイオマス単独の水蒸気ガス化の場合と比較して、水素の発生が抑制されている。 ことを明らかにした。
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