研究概要 |
硫化ジメチル(DMS)に代表される含硫黄化合物の不均一反応について実験的に検討することを目的とし、DMSの氷表面に対する吸着予備実験を、反射赤外吸収分光法とクヌーセンセル型反応器を組み合わせた表面反応解析装置を用いて行った。 金薄膜蒸着基板を100K程度の低温に液体窒素で冷却し、表面にアモルファス氷の薄膜を形成した。次いでDMSの蒸気を真空チャンバー内に導入して、アモルファス氷表面に吸着させ、反射赤外吸収分光法で吸着状態を測定した。DMS分子のC-S-C平面に対して垂直な方向に振動するモード、平面内で振動するモードの比が被覆率に対して一定であったことから、DMSは多孔質な氷の表面状態に対応してランダムに配向していることが明らかになった。次いで、吸着したDMSに対してオゾンを含む酸素ガスを導入したところ、S=0伸縮振動に対応するピークが現れ、酸化反応が進行することが明らかになった。 上記の結果を踏まえて,当該年度は鉱物粒子表面における含硫黄化合物の吸着、反応プロセスの検討を行うため、鉱物粒子を模した薄膜をレーザー脱離法による薄膜作成のための準備を進めた.薄膜蒸着用の高真空チャンバー、基板の加工冶具を設計製作し、蒸着システムの組み上げを進めた。 また,硫化ジメチルの酸化反応過程で重要と思われる窒素酸化物の氷表面における反応性についても検討を進め、固体表面に存在する弱く結合した水分子は水素結合した状態の水分子と比較して、窒素酸化物の反応性が大きいことを明らかにした。 来年度は鉱物粒子表面を模した薄膜の作成を進める予定である。
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