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2009 年度 実績報告書

コロイド溶液乾燥過程に於ける粒子薄膜形成機構の動的理解と粒子薄膜の構造制御

研究課題

研究課題/領域番号 20760522
研究機関東京大学

研究代表者

稲澤 晋  東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (30466776)

キーワードコロイド粒子薄膜 / 塗布乾燥 / 複屈折 / 光学特性
研究概要

球状のコロイド粒子は、粒子薄膜を形成すると複屈折性(光軸に応じて屈折率が異なる性質)を示す。個々の粒子が光学的に等方な球状粒子であるのに、粒子膜の構造体を形成すると光学的異方性を示す点で興味深い。これまでに、粒子膜の複屈折性発現に粒子液的からの乾燥方法が大きく影響することを明らかにしている。本年度は、粒子膜の屈折率差の定量化と、コロイド粒子の粒径や種類が複屈折に与える影響について研究を進めた。
粒子膜の屈折率差は、乾燥が進行する方向とそれに垂直な方向とで、10^<-3>程度の屈折率差が生じていることがわかった。これは、既存の複屈折材料である液晶分子に比べると一桁から二桁程度低い値であり、大きい複屈折性が必要とされる材料として用いるには現状のコロイド粒子薄膜は適切ではないことを示す結果である。個々の粒子が球形であることが小さい屈折率差の原因であると考えられる。また、コロイド粒子の粒径が及ぼす影響について調べると、直径300nm以下のシリカ粒子については複屈折性を発現し、その屈折率差と粒径は正の相関を示した。300nm以上では、粒子膜が白濁し、ほとんどの光が散乱されるため、複屈折性の確認はできなかった。
直径120nmのシリカ粒子と同140nmのポリスチレン粒子を混合して粒子膜を作製すると、それぞれの粒子単体で粒子膜を作製した場合に比べ大きい屈折率差を示すことがわかった。粒子を混合した場合、粒子膜の構造は不規則になる。従って、複屈折の発現には、粒子膜内部での規則構造が必ずしも必要ではないことが明らかとなった。これらの結果は、大きい屈折率差を有する粒子薄膜を作製する際にきわめて重要な知見である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Formation of optically anisotropic films from spherical colloidal particles2009

    • 著者名/発表者名
      Susumu Inasawa, Yukio Yamaguchi
    • 雑誌名

      Langmuir 25

      ページ: 11197-11201

    • 査読あり
  • [学会発表] Formation of optically anisotropic films by spherical colloidal silica particles2010

    • 著者名/発表者名
      稲澤晋, 山口由岐夫
    • 学会等名
      American Chemical Society 239th National Meeting
    • 発表場所
      San Francisco, USA
    • 年月日
      2010-03-22
  • [学会発表] 屈折率異方性を発現するコロイドシリカ粒子膜の構造評価2009

    • 著者名/発表者名
      稲澤晋、山口由岐夫
    • 学会等名
      第70回応用物理学会学術講演会
    • 年月日
      20090900
  • [学会発表] コロイド粒子分散系における自己組織的構造形成と物性評価2009

    • 著者名/発表者名
      稲澤晋、山口由岐夫
    • 学会等名
      化学工学会第41回秋季大会
    • 発表場所
      広島大学
    • 年月日
      2009-09-18

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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