研究概要 |
本研究は,研究開発が活発なマイクロ化学プロセスの実生産化に向けて,マイクロデバイスの設計法の確立を目指している。本科学研究費補助金申請の期間内での達成目標は,流路の"サイズ"と"形状"が重要な設計変数となるマイクロデバイス設計問題を対象に,数値流体解析法と最適化法を融合した設計支援システムを開発することと,開発システムを用いて得られた最適流路形状の有効性を実験的に検証することである。本年度得られた成果は以下の通りである。 1) 形状最適化を行うためのフレームワーク開発・拡張 応答局面法に基づく最適化機能を昨年度開発した設計支援システムに追加し,大規模かつ複雑なモデルに基づく最適設計の効率化を可能にした。また,応答局面法の導入により,設計問題の最適点周りの評価値に対する感度を定量的に把握することが可能になった。 2) 設計モデルの開発,検証実験,モデルの精度向上 マイクロ電解リアクタの効率化の鍵は物質移動促進であり,分子拡散のみに頼る従来の平行平板電極型マイクロ電解リアクタでは限界がある。本研究では,物質移動促進を目的として電極に溝を掘ったマイクロ電解リアクタを提案し,そのモデルを構築し,溝形状パラメータが反応成績に与える影響を解析すると共に,開発したシステムを用いて溝形状パラメータを最適化した。また,検証実験を通して設計結果の有効性を確認した。 今後は,より実用的な展開を視野に入れて,リアクタの高スループット化,連続運転実験による安定性の評価にも取り組む予定である。
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