超音波の利用により有害化学物質の分解速度の向上が報告されている。これらはキャビテーションと呼ばれる局所的な高温・高圧反応場の形成に起因する。また、固体粒子を添加することにより反応が促進されることが報告されている。しかしながら、このメカニズムに関する知見は少ない。そこで、本研究ではモデル有害物質としてフェノールを用い、超音波と固体粒子との組み合わせによる分解性能の向上におよぼす諸因子の影響を調べた。 固体粒子を添加することによりフェノールの分解速度は向上した。その際、本研究で用いた酸化チタン、アルミナの2種類の粒子ともに分解速度の向上が確認された。また、分解生成物の比較を行ったところ、アルミナ粒子を添加した際にはカテコールやヒドロキノンの生成量が多かったのに対し、酸化チタン粒子を添加した際にはこれらの生成量が少なく、低分子化合物にまで分解が進行しやすいことが明らかとなった。一方、照射距離を変化させると、分解が促進されやすい位置と、促進が顕著に観察されない位置が存在することが明らかとなった。 さらに、速度論的解析を行い、分解速度は反応器内部に投入された単位体積あたりのエネルギーに比例し、既往の研究との比較の結果、20-30kHz程度では照射条件によらないことを明らかにした。
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