研究概要 |
本研究期間では、主として希土類元素をイッテルビウム(Yb)に遷移金属を鉄に固定し、ソルボサーマル反応によるYbFeO_3の結晶構造および形態の制御法について検討した。Yb酢酸塩と鉄アセチルアセトナートを1, 4-ブタンジオール中でソルボサーマル反応させると、準安定相である六方晶YbFeO_3が得られた。一方、Yb塩化物と鉄アセチルアセトナートをヘキサメチレンジアミン共存下1, 4-ブタンジオール中でソルボサーマル反応させると、斜方晶YbFeO_3が得られた。また、出発物質や溶媒を変化させることで、六方晶および斜方晶YbFeO_3の粒子径が制御できた。ソルボサーマル合成した結晶相の異なるYbFeO_3を用いてメタン燃焼反応を行ったところ、六方晶系の複合酸化物が斜方晶系のものに比べ高い活性を示すことも見出した。 イオン半径の大きな希土類元素であるLaの場合において、上述の処方ではLaFeO_3は得られなかった。しかし、La酢酸塩と鉄アセチルアセトナートをヘキサメチレンジアミン共存下1, 4-ブタンジオール中の反応でソルボサーマル反応させるとLaFeO_3が得られることを見出した。 以上のように、グリコール中でのソルボサーマル法では従来まで困難であると考えられていたYbFeO_3の結晶構造の作り分けやLaFeO_3の合成がアミン共存下でのソルボサーマル法により達成できたことは、本処方の適用範囲が広くなったことを意味している。また、ソルボサーマル合成した準安定相である六方晶YbFeO_3がメタン燃焼反応に高い活性を示したことは触媒調製化学の分野において意義深いものと考えている。
|