研究概要 |
アルコールの酸化反応は、医薬・香料中間体として有用なカルボニル化合物を合成する重要な反応である。しかし、未だに、多くのアルコール酸化反応は量論量以上の重金属酸化剤を使っており、反応後に出る大量の廃棄物の管理や処理が大きな環境問題になっていた。 本課題研究では、環境調和型アルコール酸化触媒の開発を目指した。その結果、塩基性層状粘土鉱物の一種であるハイドロタルサイト(HT)に金[1]、銀[2]、銅[3]をそれぞれ固定化した固体触媒が、種々のアルコールを効率よく酸化し、従来の反応系よりも極めて高い活性を示すことを見出した。また、本触媒系を用いるとジオールから効率よくラクトンが合成できることを見出した[4,5]。 種々の分光学的手法により、これらの高い触媒活性はHT表面上の強い塩基性と金属ナノ粒子の協奏効果により発現し、ナノ粒子はHT表面上に非常に強固に固定化されているため金属粒子の凝集が起こらず、高い耐久性を示すことがわかった。 [1] Adv. Synth. Catal. 2009, 351, 1890 [2] Angew. Chem. Int. Ed. 2008, 47, 138 [3] Chem. Commun. 2008, 4804. [4] Green Chem. 2009, 11, 793 [5] Heterocycles 2009, 80, 855.
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