酸化チタン粉末を濃水酸化ナトリウム水溶液と混ぜ、150℃で水熱合成処理することにより酸化チタンナノワイヤーを得た。この酸化チタンナノワイヤーを、グルコース、水とともに耐圧オートクレープに入れ、180℃で水熱合成処理することによって、酸化チタンナノワイヤーをカーボン被覆することができた。この状態では、カーボン骨格の強度が弱いため、窒素気流下で400度で加熱し、炭化を促進させた。さらに、このカーボン材料を液体の硫酸で、スルホ化すると、構造が破壊されてしまうため、SO_3ガスでスルホ化することで、ナノワイヤー構造を維持したカーボン系固体酸触媒の合成に成功した。合成条件を制御することによって、比表面積を200m^2/g程度にまで増加させることに成功した。元素分析測定の結果から、このカーボン系固体酸触媒は、0.7mmol/g程度のSO_3H基を有していることが分かった。この触媒を用いて、セロビオースの加水分解反応を行ったところ、従来のカーボン系固体酸触媒よりは、性能が低かったものの、酸点当たりの活性は、Amberlyst-15や、Nafion NR50に匹敵する活性を有することが明らかとなった。また、この触媒は、セルロースの加水分解反応には、あまり活性を示さなかったが、従来のカーボン系固体酸触媒の100倍高い表面積のカーボン系固体酸触媒を合成できたことから、従来のカーボン系固体酸触媒では、ほとんど活性を示さない疎水性分子を含む酸触媒反応に対して高い活性を有することが期待できる。
|