研究概要 |
本研究課題では、ポリスチレン(PS)基板表面に対して自己集積および自立配向性を有する診断用モノクローナル抗体を創生、大量生産し、高感度、迅速、ハイスループットな次世代免疫診断システムを構築することを目的としている。前年度に開発したPS-tag融合scFvの汎用性を検討する為に、anti-CRP, anti-RNase, anti-ED-B, anti-IFNG scFvについてscFv-PS-tagを生産させ、On-Chip Refolding条件の検討を行った。その結果、全てのscFvについて活性を保持したまま高密度に親水性PS plateへの固定化が可能であり、本技術の高い汎用性が証明された。また、FvやFab等、他の低分子抗体のOn-Chip Refoldingも可能であった。これらを利用したOne-step ELISA法を検討した結果、従来のサンドイッチELISAと同等の検出感度が得られ、シグナル検出に要する時間を約1/5に短縮することに成功した。さらに、PS-tag融合低分子抗体は、マイクロプレートを用いるハイスループット培養が可能であり、多種多様な抗体を短時間で低コストに生産する技術が確立できた。本研究で開発した要素技術を組合せることで高感度・低コスト・ハイスループットな次世代型免疫診断システムの開発が可能となる。
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