研究概要 |
本研究課題の目的は、(i)生体膜によるAβの多形性の発現機構の解明と(ii)(モデル)生体膜(メンブレン)による多形制御方法の確立である。そのために、アミロイド形成課程(ものマー→プロトフィブリル→アミロイドという逐次反応)において、生体膜がプロトフィブリルの構造変化や多形性を制御する機構を検討する。そこで、研究課題を【I段階】プロトフィブリルの基礎検討、【II段階】結晶多形を生み出す機構の解明とその制御方法の確立、に分けた。初年度では【I段階】に関して、以下の項目について検討した。 (1) プトロフィブリルの調製 : 分子量75,000〜300,000程度のオリゴマー凝集体であることが示唆された。 (2) プロトフィブリルの表面特性の解析 : モノマーやアミロイドに比べて、顕著に大きな局所的疎水性と不安定な水素結合安定性を示し、プロテアーゼ抵抗性や可視化実験などにより、アミロイドよりもflexibleかつ不安定な構造であることが示唆された。 (3) プロトフィブリルの(モデル)生体膜への分配特性 : 固定化リポソームセンサを用いた実験により、プロトフィブリルが強い膜配向性を示すことが分かった。さらに、モノマーやアミロイドと比べ、強い膜かく乱効果を有することが示唆された。 (4) プロトフィブリルを起点とする線維伸長反応(結晶化)機構の解析 : 項目(1)より得た分子量既知のプロトフィブリルを用いたアミロイド伸長実験では、プロトフィブリルがアミロイドの核として作用することが示唆された。
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