研究概要 |
本研究課題の目的は、(i)生体膜によるAβの多形性の発現機構の解明と(ii)(モデル)生体膜(メンブレン)による多形制御方法の確立である。そのために、アミロイド形成課程(ものマー→プロトフィブリル→アミロイドという逐次反応)において、生体膜がプロトフィブリルの構造変化や多形性を制御する機構を検討する。そこで、研究課題を【I段階】プロトフィブリルの基礎検討、【II段階】結晶多形を生み出す機構の解明とその制御方法の確立、に分けた。2年目では【I段階】に関して、以下の項目について検討した。 (1) リポソーム共存下におけるプロトフィブリルの安定性の評価 水性二相分配法・プローブ標識実験・固定化リポソームクロマトグラフィーなどを併用して多面的にプロトフィブリルの構造変化(表面/局所的疎水性,ゆらぎ,剛直性など)を評価した. (2) プロトフィブリルの起点のアミロイド多形現象に関する条件検討 脂質膜による多形性制御として,固体基板上に脂質膜を固定化し,プロトフィブリル起点のアミロイド形成現象を整理・検討した. (3) アミロイドの結晶多形と生体膜のストレス劣化との関係の検討 種々の多形を細胞に添加し,細胞の生存率(MTT活性:ミトコンドリア機能を指標とした細胞活性)の測定から,アミロイド多形と生体膜のストレス劣化の対応関係を評価した.その結果,多形と細胞毒性に関連性を見出した.
|