研究概要 |
本年度は親水性ポリスチレン高親和性ペプチド(PS-tag)を連結した各種ヒトFoxP3タンパク質およびランダムペプチドライブラリーをそれぞれ調製し,本課題の目的である,機能性固相化プレートを用いたFoxP3親和性ペプチドのスクリーニングを行った. 新規に構築したT7ファージ(Novagen)にランダムペプチドライブラリーを用いて,PS-tag連結FoxP3に親和性を示すペプチドのスクリーニングを行った.まず,タンパク質とファージライブラリーを相互作用させ,親水性PSプレート上に固定化した.その後,大腸菌BL21を添加し,感染・増幅させた.溶菌後のライセートを用いて再度タンパク質と相互作用させた.これら一連の作業を1サイクルとし,5回繰り返すことにより,親和性ペプチドを提示するファージクローンの絞り込みを行った.その際,相互作用させるタンパク質の濃度,ファージライブラリーの前処理について異なる条件を用いて検討を行った.パニング後に得られたファージライセートから数百個のプラークからファージを単離し,ダイレクトシーケンシングによりFoxP3親和性候補ペプチドのアミノ酸配列を決定した.その結果,数種類の配列のみが得られ,高効率な親和性ペプチドの濃縮が示唆された. 単離したファージ溶液を用いて,ファージELISAによる親和性評価を行ったところ,FoxP3に対する有意な特異性が見られた.さらに,提示ペプチドのほとんどがターゲットとするDNA結合ドメインに対するDNA結合阻害活性を有することが示唆された.また,FoxP3をセンサーチップ上に固定化し,表面プラズモン共鳴法によるタンパク質-ペプチド間相互作用解析を行ったところ,特に2種類の親和性候補ペプチドについて,FoxP3に対する高い結合特性および低い解離特性を有することがわかった.
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