研究課題
本研究は、大気圏再突入のような自己発光を伴う高エンタルピ流れにおいて高精度な空力加熱率予測をするために、新たな計測手法の提案を行うものである。そのアイディアは、物体の表面の温度分布を計測する従来の方法から発想を転換し、物体の内部(背面から)観測を行うことで、空力加熱率分布を算出する方法である。具体的には、模型を薄板で構成しその内面に、感温塗料(TSP)のコーティング膜を施し、模型が空力加熱を受けるときの温度上昇を内面から画像として計測する。この方法では、外部気流の自己発光の影響を一切受けないので、温度履歴の光学画像が時系列データ(空力加熱率の算出)として得られる。しかし、一方で、物体背面からの観測には、物体(模型)の持つ熱容量がローパスフィルタとして働くという欠点がある。この点を、温度分布の計測値から熱流束を逆に推定する、いわゆる逆問題解法を用いて補う。感温塗料(TSP)と逆問題解法を組み合わせた計測法は過去に例がなく、高負荷の熱流束を計測する手法として極めてユニークだと言える。この提案に対し、今年度は、レーザ加熱による計測原理の実証試験を行った。具体的には、赤外線吸収材を塗装した金属薄板表面に高出力(6W)のアルゴンレーザを照射し、そのときの背面の温度上昇分布を感温塗料によって計測し、(2次元計測)熱流束分布を算出した。その結果、熱流束分布推定に対する物体の材質、厚みの影響、空間分解能の限界などを評価した。併せて感温塗料の膜厚、種類による感度の違いや応答性や劣化特性などの評価も実施した。
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平成20年度宇宙航行の力学シンポジウム講演集 (印刷中)
平成20年度衝撃波シンポジウム講演論文集
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JOURNAL OF THERMOPHYSICS AND HEAT TRANSFER Vol.22, No.3
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Proceedings of KSAS/JSASS Joint Intl Symposium on Aerospace Engineering
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第40回流体力学講演会講演集
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