2次元変形を伴う非常に柔軟な要素を持つ展開機構(EFDM)について絶対接点座標法(ANCF)を用いて定式化を行った。20年度の予定であった塑性変形と拘束条件変化に関する影響の効果を考慮するための準備として、大変形を伴う弾性変形のみを考慮して定式化を行った。また、対象として非常に薄い梁を選び、宇宙用柔軟展開構造物に必要とされる挙動として、大変形とオーバーオール運動としての動的スティフニング効果に着目した。 一般的にANCFで定式化したモデルは数値解析時に計算誤差の影響が大きく発生し、本研究で構築したモデルについても同様の影響が発生したために、いくつかの数値計算法を試行錯誤的に実施し、数値計算法に関して比較的安定して結果の得られる知見を得ることができた。また、ANCFで定式化されたモデルに関して、オーバーオール運動に関する定量的な実験検証はほとんど見当たらないが、本研究において定式化したモデルと、それに対応した実験を行うことで、定量的な実験検証を実施し、定式化の有効性を示すことができた。 また、実験では落下塔による微小重力実験を当初予定していたが、実験時間が短くやり直しが困難ということと、20年度の検討でオーバーオール運動の検証には比較的長い実験時間が必要という結論が解析より得られたため、地上での検証方法を検討し、2次元変形に関しては落下塔を用いずとも、重力の影響を取り除いて検証が可能となるような実験装置を開発した。また、オーバーオール運動の地上での実験検証では空気抵抗の影響が非常に大きく影響することが判明したが、実験装置の改善によりそれらの影響を大きく低減している。
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