研究概要 |
現在,大学や民間企業などによる小型衛星の研究開発および打ち上げが急速に進められている.そして,次世代フェーズとしてこれら小型衛星を実用レベルにまで引き上げるために,マイクロスラスタを用いた軌道・姿勢制御が必須となっている.申請者はこれまでの研究において,単一のスラスタにおいて数桁の広範囲にわたる推力を発生する高機能型の全く新しいマイクロスラスタを提案した研究を行ってきた.この結果,新しいマイクロスラスタの提案および原理・動作実証が達成され基本性能の取得がなされた.しかし,実用的なマイクロスラスタとして発展させるには,A.レーザー着火モードにおける推進性能則の解明,B.マイクロスラスタの衛星環境適合性の評価を行うことが必要不可欠となっている.本研究では上記A・Bの項目を行うことによって,1kg級衛星に搭載可能なマイクロスラスタを実現させることを目的とする. 一般に,固体ロケットの燃焼推力に関しては,過去の研究により多くの有用な指針が得られていが,1mm級の極小推進薬,燃焼室,およびノズル,そして樹脂性の壁面という特殊な条件に関しては,その適用の有無が確立されていない.平成20年度の研究では,推進惟能の最適化のために,多くの形状・寸法における推力測定内部圧力測定,および排気プルームの可視化を行い両者の関係を明らかとした.特に,1)研究室レベルで迅速かつ高精度にマイクロロケットを製作する方法を開発した,2)性能評価方法として,従来からの推力測定に加えて,内部燃焼圧力の時間履歴測定および排気プルームの可視化測定を確立した,ことの二点により極めて効率よく推進性能の最適化を行うことが可能となった.
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